世界の異なった場所の人々が、より相手に近づくことが出来るようになるためには、プラス・マイナス・ワン(±1)の原点に立ち返ることが必要です。
もし我々が、倫理と法の原点を受け容れるならば、全人類のために共通の法律を作ることがよりたやすくなります。
「哲学の庭」はこの方向への歩みです。哲学の庭は一つの点から発して作られています。この一点の回りに三つの輪があります。
第一の輪は、中心点に集まる完全な輪で、これは異なった文化を象徴する人々で、思想を作り世界の大きな宗教の祖となった人物像です。各宗教の中心は、それぞれ、神、仏、イシュタール、アラー等々、名は異なりますが、それ自身違いはありません。
第二の輪は、文化、時代は違っても同じように悟りの境地に達して同じようにそれぞれの社会で実践し同じように成果を得た人々、すなわちガンジー、達磨大師、聖フランシスがこのグループです。
第三の輪は、法の輪で、異なった時代に於いて各々法を作り、現存する法律の主流を作った人物、ハムラビ、ユスチニアヌス、聖徳太子像です。
この道は人類の進歩を示し、時代と共に新しい人類共通の法を作る問題を投げかけ、考える道を開いています。私は悲観論者ではありませんが、21世紀になってもこの問題は解決されるとは思いません。
しかし私はこの方向に向かって進むべきだと確信するのです。
平成8年7月 於 益子
財団法人 タオ世界文化発展研究所
和久奈 南都留
追記
ワグナー・ナンドールが分析美術史の研究を始め、思想を深め、その哲学理論の表現として「哲学の庭」を彫刻の形で制作し完成するまで約半世紀かかりました。
平成13年10月18日母国ハンガリーの首都ブダペスト市に「哲学の庭」が建立されました。ニューヨークの惨事の直後でもあり、このワグナー渾身のライフワークにこめた民族、宗教を超え、世界平和を願うメッセージが大きな反響を呼んで居ります。
始めからの構想によって8体の彫刻がハンガリーに建ちました。日本の「哲学の庭」11体の彫刻は大切に保管されて居ります。日本でも同じ思いで「哲学の庭」建立が実現されることを私共も心から願って止みません。
平成17年3月
財団法人 タオ世界文化発展研究所
和久奈 ちよ
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